売れる営業になるために、必要なスキルはいくつかありますが、私がもっとも大事だと思うスキルは、
ヒアリング能力です。
これから営業として、スキルを磨こうと思っている方なら、ヒアリング能力の向上を意識して取り組まれるのが良いと考えます。
提案力を高めるためには?という記事で紹介しましたが、クライアントの潜在ニーズを満たす提案をすることが出来れば、受注はできるんです。そのため、クライアントの潜在ニーズを聞き出す能力があれば、あとは、そのニーズに沿った提案をするだけなので、プレゼン能力や資料の作成能力は、最低限のレベルがあれば、良いです。ただ、この潜在ニーズを聞き出すヒアリング能力は、簡単には身に付きません。
前にも記事で書きましたが、表面的なニーズを聞き出すのは、簡単です。どういう条件を求めているかを質問すれば良いので。ただ、潜在ニーズは、クライアント自身も気付いていないニーズを引き出す必要があるので、話の“引き出し”を豊富に持っていないといけません。だから、経験がある程度は必要です。潜在ニーズを引き出すヒアリングというものを意識して、実戦での経験をどれだけ積んでいるかによって差が生まれます。
テクニック論で言えば、なぜ?なぜ?なぜ?と物事を掘り下げるスキルが必要なのと、一つの事象を360度の角度から捉えるという多角的な視点を持つというスキルも必要です。
よくあるダメな例で言えば、以下のようなパターン。
どんなインターネット広告を求めていますか?
クリック単価が安い広告を求めています。
クリック単価はいくらぐらいが希望ですか?
50-70円ぐらいかな。
これ、インターネット広告の業界でよくある典型的なダメな例ですね。ここまでドストレートにこの質問をする訳ではないと思いますが、このような話の流れになってしまう方も多いのではないでしょうか。
こうなるのは、なぜ?なぜ?なぜ?の思考が足りないからです。
- なぜ、クリック単価50-70円でサイトにアクセスを集めたいのか?
- 集めたいアクセス数はどのぐらいなのか?
- 何のためにアクセスを集めたいのか?
- アクセスを集める以外に、目的を達成する手段は無いのか?
まあ、このぐらいなぜ?を繰り返せば、たいてい、広告をやる目的まで到達できると思います。つまり、最初から広告を実施する目的を聞き出した方が良いです。
よくSNSなどで広告出稿をしているのを拝見するのですが、現在実施している広告の目的は、なんですか?
うちの商品・サービスの理解促進のためです。だから自社サイトに多くのお客様に訪問してもらって、コンテンツをよく見てもらい、自社の商品やサービスをよく知ってもらうという事が目的です。
なるほど。では、御社の抱えている課題は、商品理解の促進なんですか?なぜ、商品の理解促進が必要なんでしょうか?
うちの商品の認知は、それなりにあって、購入してもらえれば、商品の良さは分かってもらえるんです。だから購入者の口コミも良いレビューがたくさん集まっています。でも、商品の良さを購入前に伝えるのが難しいですよね。店頭で実際に体験出来れば、一番いいだけど、インターネット上でどのように伝えれば良いか、迷ってまして。
では、現在実施している広告では、その課題をあまり解決できていないんですか?
そうなんです。アクセスは集まるのですが、なかなか商品の良さが伝わっていないんです。その証拠に、サイトの滞在時間が短かったり、見てくれているページ数もあまり多くないです。しかも直帰率も高くて。
ああ、それ、出稿しているメディアの選定の問題ではなくて、アクセスを集めているサイト自体に問題があるかもしれませんね。
こんな具合に、クライアントの担当者が抱えている目的を掘り下げることによって、本来の課題が見えてきたりします。こういうヒアリングが出来るようになると、「クリック単価が・・・」みたいないきなりコストの話にはならないです。
皆さんも営業でヒアリングを行く際は、事前準備として、なぜ?を繰り返し、クライアントがどんな問題点を抱えているかを想定してから臨むようにしてみてください。きっと、クライアントの言う内容が変化してくると思いますよ。